最近は聞かなくなりましたが、一昔前には「犬を飼っている人に悪い人はいない」 という言葉を耳にしていた記憶があります。 ところが、犬や猫を捨てる人間の実態が判明するにつれ、残念なことにそれは現実にそぐわない フレーズであることが分かってしまいました。 そこで、現代において敢えてこの言葉を言い換えるのであれば、 「(自分の責任の下)愛犬・愛猫を最後まで看取った事のある方に悪い人はいない」 と言ったところでしょうか。 生きとし生けるものにとって避けられないのは「老い」であり、 年を取るにつれ病気になる確率は高まります。 そして、犬の病気の面倒や老犬介護は「犬を飼える条件・飼えない条件」で挙げた全ての条件が、 飼い主さんに一気にふりかかる場面とも言えるでしょう。
あれ程やんちゃで活発だった愛犬も、年を重ねるにつれ -1) 呼んでも気付かない・視聴覚の低下(反応への鈍化) -2) 腰が落ちる・散歩を嫌がる(脚力の低下) -3) 食欲の低下 といった、老化のサインが見受けられる様になってきます。 そして、次第に寝る事も多くなり、やがて -4) 夜泣き -5) 排尿・排便のコントロール -6) ストレッチと褥瘡ケア
といった、飼い主さんを大いに悩ませる次のステージが訪れることでしょう。 犬種にもよりますが、シニアの入り口は6~7歳とされています。 長いようで短いこの6~7年という歳月は、犬を初めて飼おうと検討されている方にも あっという間に訪れるかもしません。 「こんなはずではなかった」と思わないためにも、具体的にお話をさせて頂きます。
「おいでおいで」をしても来なかったり、名前を呼んでも来なかったりすることが増えると、 それは老化の初期症状と捉えるべきでしょう。 その多くは視聴覚の衰えに起因するもので、その後もどこか1点を見つめたりと、 まるで意識が無いように見える状態も増えてきます。 なお、老化が進むと「他の犬に攻撃的になる」や、逆に「他の犬に怯える」など 犬の性格にも変化がみられることもあります。 ただし、上記の様な反応が徐々にではなく突然現れた際は、老化ではなく脳やその他の異常が原因の 可能性もありますので、老化といきなり決めつけて見守るのではなく、まずは動物病院に相談した方が 良いでしょう。 いずれにしましても視聴覚の衰えが始まったと感じた際は、 ・ぶつからないようするために、犬の進路にある家の中の障害物を整理する ・ぶつかっても良いように、テレビボードなどにクッションをつけてあげる などの配慮してあげるタイミングと言えるでしょう。
犬は一般的に下半身(後ろ足)から脚力を失っていきます。 散歩中に「足を引きずったり」「足が揃ったまま走ったり」などの症状が見られると、 それは老化のサインかもしれません。 脚力の低下が進むと、家の中では「ストン」と腰を落としてしまう場面も見受けられる様になり、 やがて後ろにでんぐり返しをしそうになる程下半身の踏ん張りが効かなくなることがあります。 (後ろ足の筋肉/主に臀部が弱まっていきます) この様な症状がみられる際は、階段の昇り降りや段差もつらくなるでしょうから、 介護用のハーネスで支えてあげるなどの対応も必要になってくるでしょう。 (介護用のハーネスにも種類がありますので、用途に合わせて選びましょう)
なお、簡単にできるにも関わらず飼い主さんが意外と忘れがちな 対応の一つに 「家の床にタイルマット敷く」が挙げられます。 立ち上がるという行動は体力を要するものです。 特に床がフローリングの際は足をツルツル滑らせてしまい余計な体力を 奪うことになりますので、中・大型犬を飼われている際はタイルマット を敷いてあげるなど、 小型犬に比べ、より足腰のケアを心がけて あげる必要があるでしょう。
(外部リンク)介護の際に汚れることもあるため、ホームセンターなどの安いところで買う事をおすすめします。
一方、タイルマットは洗ってしまうと裏の粘着が弱くなり張り付きが 悪くなるので、すべったり、めくれたカ所につまづく等かえって危険と なる可能性もあります。 その際は、ヨガマットにしてあげると犬も歩き易いですし、何度も 洗えるので経済的です。 ※100円ショップでも購入できます
(外部リンク) inFIT ヨガマット ブラック YKB350
また、足を触られるの嫌がらない子は、グリップの利く犬用の靴(靴下) を後ろ足だけでもはかせてあげると、歩行や立ちあがりが多少スムーズ にはなります。 ※ 自分で靴下を剥いでしまう子もいるので注意してください
犬にとって最もてっとり早く健康を維持する手段は、 「運動及び食事をすることで自己免疫力を高める事」であるのを、 シニア犬を飼われている飼い主さんのほとんどがご存知です。 しかし、(一部犬種を除き)老犬になると、一般的には人間と同じように食が細くなり、 これまで好んで食していたフードも食べなくなるかもしれません。 また、体力の衰えから、思う様な運動もできなくなるでしょう。 そこで、飼い主さんは食べてくれそうな新しいフードやおやつを無駄を出しながらも探したり、 手作りフードを日々試行錯誤しながら与えるなどして、食欲の低下をフォローしています。 手であげることの重要性 ところで、食欲の低下したシニア犬でも飼い主さんが手で餌を口まで運んであげると、 食べることが多々あることはご存知でしょうか? しかし、それでも元気な頃のようには食も進まないため、必要な量を手であげる事は飼い主さんの 時間を割くこととなります。 愛犬の食が細くなった際、「それを犬の寿命と考えて何もしないのか?」 それとも「時間かけてでも手であげるのか?」皆さんはどちらを選ばれますか?
寝静まった真夜中から朝方にかけて、犬の夜泣きは飼い主さんの睡眠状況を問わず行われます。 特に深夜の夜泣きは外にも響きますので、近隣への迷惑に気をもむ等、睡眠だけでなく精神的にも 追い込まれる状況が毎日続くことになるでしょう。 夜泣きは、根本的な治療方法がないとされており、現状では対処療法を行うしかありません。 対処として「昼間に寝かさない様にする」という方法もありますが、日中仕事で家をあける 方々にとっては現実的ではありません。 従って、サプリメントや薬を投与しながら、時には徘徊や夜泣きが収まるまで飼い主さんが その場にいてあげるなどして、コントロールをせざるを得ないのが現状です。 ~つづく