ご回答は、以下のとおりでございます。
1.犬の鳴き声はどういう基準で騒音と判断されるのでしょうか?
【ご回答】
まず、民法第718条1項本文に、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。
そして、犬の鳴き声によって賠償責任を負うような事態、つまり、「違法」と判断されるためには、鳴き声のうるささが、「受忍限度」を超えたと判断される必要があります。
そして、「受忍限度」を超えたか否かは、
①鳴き声の大きさ、
②それによって被害者が受ける被害の程度、
③飼い主側が被害者側とどのような交渉をして改善策を講じてきたか等を総合的に考慮して判断されます。
そのため、こういう状況であれば、「受忍限度」を超えて「違法」だ、とは言えないのですが、参考になるものとして、環境省が定めている「騒音に係る環境基準」というものがありますので、ご覧いただければと思います。
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2.通報されてしまった場合、犬を手放す様なことだけは避けたいのですが、
防音対策済み今の状況で、手放さざるを得ないことはあるのでしょうか?
【ご回答】
いくら防音対策をしても、受忍限度を超えるほどひどい状態なのであれば、「違法」な状態が続くこととなり、手放さざるを得なくなることもあると思います。
ただ、受忍限度を超える程度でもないにもかかわらず、あまりにも神経質なために、クレームを付けられるというケースもあります。そのような場合は、「違法」な状態ではないのですから、手放す必要はありません。そのようなクレーマーに対応する方法は、次の回答で説明いたします。
なお、ペットを多数飼っている飼い主に対しては、鳴き声があまりにもひどい場合、都道府県知事が、騒音を無くすために必要な措置をとるよう勧告をしたり命令を出したりすることができるようになりました(動物の愛護及び管理に関する法律第25条、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則第12条第1号)。その一環として、ペットを手放すよう求められることはあるかもしれません。
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3.他の犬を飼っているご家庭の鳴き声に比べると相当静かなはずですが、
法的対応を含め、
隣人のクレームを辞めさせる方法はないのでしょうか?
【ご回答】
受忍限度を超える鳴き声でないにもかかわらず、あまりにも執拗にクレームを付けてくるような場合は、逆に、クレーマーの方が違法となり、執拗なクレームによって精神的苦痛を受けた場合は、金額は小さいかもしれませんが、慰謝料請求が可能です。
また、当然のことながら、明らかに脅迫ととれる発言をされたり、暴力を振るわれたり、犬に危害を加えられたような場合は、犯罪となりますので、警察に通報すべきです。
対応策としては、
①クレーマーに、理路整然とした説得力のある説明を、口頭又は書面で行う②に備えて、口頭の場合は
録音をとり、書面の場合はコピーをとったり内容証明郵便で送るなどした方がよいでしょう。)、
②それでも止まらないようであれば、調停や訴訟で解決する、
③犯罪といえる程度の場合は、警察に通報をする、ということになるでしょう。
もっとも、①の場合、他の近隣住民、役所の担当者、警察官、弁護士等に立ち会ってもらう方が安全だと思います。 |