弁護士に聞くペットのトラブル・法律相談/公園でのノーリード飼い主の注意方法編

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お役立ち情報TOP >>  犬や猫のニュースと雑学・お役立ち情報:目次 >> 弁護士に聞くペットのトラブル・法律相談_バックナンバー 第 2 話…ノーリード飼い主の注意方法
犬や猫,ペットのニュースと雑学・お役立ち情報:弁護士に聞くペットのトラブル・法律相談_第2話はノーリード禁止の公園にも関わらずしつけのできていない犬をノーリードで遊ばせている飼い主への注意方法編です


相談:ノーリード禁止の公園で、しつけのできていない犬をノーリードで
     遊ばせている飼い主への注意の方法を教えてください。

いつも通っている公園にノーリードの飼い主が現れる様になって以降、その飼い主がコミュニティーを作り始め、
次第に他の飼い主もノーリードで犬を遊ばせるようになりました。
しかも、皆到底犬のしつけが出来ているとは思えない状況で、飼い主の言うことも聞かず集団で走り回り、
先日はとうとう私の犬が集団に取り囲まれてしまいました。

私の犬は小型犬で、ノーリードの飼い主たちの犬は中・大型犬です。
その場で「この公園はノーリード禁止である旨」を伝えたところ、
「しつけが出来ているからうちの子は噛まない」
「ラブラドールだから賢いので大丈夫」
と、根拠の無い理由を並べ立て、その後も改善する兆しは見られませんでした。

飼い主の静止を聞かない時点でコントールはできていないし、ラブラドールが人間や犬を噛む事件も
耳にしたことがありますが、そもそもノーリード禁止の公園で犬を放し飼いにすること自体が間違いだと
思います。そこで、以下について教えてください。

1.ノーリード禁止の根拠となる法律や条例を教えてください。

2.「噛んでもないのに文句を言うな」と言われてしまったのですが、
  自分の犬を守る(ケガや事故を未然に防ぐ)ために、ルールを
  破る人間を事前に注意するはおかしいことなのでしょうか?
  注意することの正当な権利として根拠となる法律はあるのでしょうか?

3.リードを付けないで公園で走り回らせるマナーの悪い飼い主に、
  具体的に罰則を与えることのできる条例や法律はあるのでしょうか?

4.この様な状況で、マナーの悪い飼い主の行動を改めさせるには、
  一般的にどの様な方法があるのでしょうか?

ノーリードで公園で遊ばせる飼い主への注意方法



回答:現在の条例の解釈論として、ノーリードでの散歩は難しい

回答を記させていただきます。
【質問1・3について】
①まず、「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下「動物愛護管理法」といいます)は、「動物の所有者
  又は占有者は、(中略)動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、(中略)又は人に迷惑を
  及ぼすことのないように努めなければならない。」としています(同法第7条第1項)。

②そして、所有者又は占有者が守るべき具体的な基準は、環境大臣が決めればよいとしています
  (同法第7条第7項)。

③これを受けて、環境大臣は、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」というものを制定していますが、
  犬については、「犬の所有者等は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、(中略)犬を制御できる者
  が原則として引き運動により行うこと。」などと定めています(同基準第4の5)。
  もっとも、「原則として」と記されているため、引き運動によらない運動(ノーリードでの散歩)が「例外」
  として許される余地がありますが、どのような場合に許されるのかは明らかでありません。

④そこで、各地方自治体が、条例という形で、さらに具体的な基準を定めていることが通常です。
  例えば、東京都の場合は、「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」というものがあります。
  そこでは、「犬を制御できる者が、犬を綱、鎖等で確実に保持して、移動させ、又は運動させ」ることが
  義務付けられており(同条例第9条第1号)、この義務に違反した場合は、「拘留又は科料」という
  刑事処罰の対象になるとされています(同条例第40条第1号)。

  たしかに、同条例の第9条第1号ニを見ますと、「逸走又は人の生命、身体及び財産に対する侵害の
  おそれのない場合」には例外的にノーリードでの散歩が許されるかのようにも読めますが、どのようなペット
  でも絶対安全ということは考えにくいことから、この例外規定に該当するケースというのはほとんど想定し
  難いのではないかと思われます。

  愛犬家の皆様の中には、この例外規定をもってして、ノーリードでの散歩は禁止されていないと主張される
  方もいらっしゃるようですが、現在の条例の解釈論としては難しいと言わざるを得ません。

【質問2について】
まず、上記のとおり、そもそもノーリードでの散歩は、原則として、条例違反と解されますので、条例違反を
根拠として注意をする権利があると考えられます。
また、そもそも、人間の生命や身体は最も尊重されるべきものですので(憲法第13条参照)、法律上
や条例上の具体的な定めがなくとも、生命や身体に危険が生じそうな場合は、危ない行為をやめるように
という差止請求権が認められると思われます。

【質問4について】
抑止力が弱い順から記しますと、まずは、直接注意をするという選択肢があります。
もっとも、キレやすい人がいる昨今、恨みを買うことが怖いようであれば、行政機関に通報するとよいでしょう。
上記のとおり、ノーリードでの散歩は、原則として、刑事処罰の対象ですので、刑事事件を担当する行政
機関である警察に通報できます。
また、警察ほどは抑止力がないかもしれませんが、あまり事を荒立てたくない場合は、まず市区町村に
通報するという選択肢もあるでしょう。

【その他】
余談ですが、上記の東京都の条例によりますと、もし、ご自身のペットが人を噛んだような場合には、
①24時間以内に、事故の内容と措置の内容を、知事(実際に届け出る先は保健所ですが)に届け出る
②48時間以内に、ペットを獣医師に検診させること、
が義務付けられています(同条例第29条)。



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